2023/02/18 17:25

発行からそろそろ3週間!

第1号をすでにお手にとっていただいた方、本当にありがとうございます。


「寄木塚1号」はこちらhttps://yorikitsuka.base.shop/items/71188889からお買い求めいただけます!

今回は、簡単ですが各原稿のご紹介。


大澤夏美さんの原稿は「ミュージアムにe-sportsという突風は吹くか」と題し、今年の抱負をご寄稿いただきました。

ミュージアムグッズ愛好家として活動し、2月7日には人気TV番組「マツコの知らない世界」にまで出演した大澤さんの今年の抱負とは?

タイトル通りe-sportsの話題が大きく絡むのですが、もちろんミュージアムへの熱い期待があってこそのもの。

大澤さんの新旧文化への熱い眼差しを感じます。


佐藤拓実さんの原稿は、連載ものになりました。江戸後期に蝦夷地を探検した幕臣、近藤重蔵についてです。都内王子駅を降り、正受院という寺へある石像を訪ねるところから話は始まるのですが、近藤の事績を追う形で、択捉や平取へと話が展開。

それに従い、読み手としての意識も飛ばされてゆきます。

精緻な取材に基づくドローイングも掲載いただいています。


佐藤祐治さんは、文章中でほのめかされている通り、盛岡市のCyg art galleryで実施された自らの写真展(https://cyg-morioka.com/archives/1930)を始まりに据えました。そこで主題とされた東北・北海道に伝わる「龍神信仰」から、つまり目に見えないものを起点にしながら放浪し、盛岡で出会った方々や物事を丹念に文で記録しています。この文と写真との行き来をぜひ楽しんでください。


表紙は、誌面構成の都合で中村絵美の散文と写真となりました。こちらはなんだか解題のような説明となりますが、昨年3月にCyg art galleryで行われたグループ展(https://cyg-morioka.com/archives/1447)で発表した、「北の極点」という散文のイメージを深めたものです。題に含めた「雁道」とは中世期に秋津島(本州島)の人々が空想した架空の島であるといいます。人在らざる者が住む島です。また、写真は下北半島の平地(低い土地)で撮影したガンコウランの群生する姿。こうした植物を「高山植物」という一般的な呼称に括らずに、場所に合わせて「周極植物arctic plants」と呼びたい。


最後に、忘れてはならないのは、今回のデザイン&印刷に関わっていただいた、SANON Designさん。噴火湾沿い、豊浦町の印刷会社さんです。

会社の広報でも紹介してくださいました。

https://sanon-design.com/archives/2739


第2号も作る気満々なので、よろしくお願いします!!


余談。


「寄木塚」って何?みたいな感想もいただいております。


実は(?)、北海道本島、噴火湾沿いに付けられていた忘れられた地名なのです。海岸の流木が寄り集まっては離散して行く場所を指し示していました。かつて聖なる場所であり、そのうちに村境を示すようになったその場所は、村同士の合併や交通網の発達を経て、もはやなにかの境を示す必要のあるような場所ではなくなったのでしょう。近世から近代へ至る過程で、地図上からも集落の人々の意識からも押しのけられてしまいました。


しかし、まだかろうじて維持されている気象や地形があるような気がします。そう思って風景をつぶさに見ていると、そこにはいまだ何かが、まだ言葉にできないものが、指し示されている、というような気がします。






(文章:中村絵美 / 写真:佐藤祐治)